修理補修について
瓦屋根はメンテナンスフリー?劣化のサインや価格相場をご紹介
瓦屋根は耐久性に優れているため、ネットで調べていると「瓦屋根はメンテナンスフリーだ」という声がちらほら見受けられます。
しかし、瓦自体はメンテナンスが不要でも、下地や防水紙は瓦よりも早く寿命が来るため、実際は定期的なメンテナンスが必要です。
そこで気になるのが、適切な瓦屋根のメンテナンス時期ではないでしょうか?
本記事では、神奈川県横浜市・川崎市で外壁屋根塗装を手がける「浜翔ペイント」が、「瓦屋根のメンテナンス」について詳しく解説しました。
他にも、以下の内容についてご紹介しています。
・瓦屋根によくある劣化症状
・瓦屋根の主なメンテナンス方法
・瓦屋根修理の価格相場
最後に、「瓦屋根の修理に火災保険が適用されるかどうか」についても説明しました。
瓦屋根のご自宅にお住まいの方は、ぜひチェックしてください!
【瓦屋根の素材別】メンテナンス時期の目安
一言で瓦屋根といっても種類がさまざまあり、使用されている素材によってメンテナンス時期は異なります。
■素材別:瓦屋根のメンテナンス時期の目安
素材の耐用年数 | メンテナンス時期の目安 | |
陶器瓦 | 50〜100年 | 15〜20年 |
スレート瓦 | 30年前後 | 10年前後 |
セメント瓦 | 30〜40年 | 10〜15年 |
モニエル瓦 | 20〜30年 | 10〜15年 |
それぞれの素材の特徴を詳しく見ていきましょう。
陶器瓦
「陶器瓦」は、日本瓦・粘土瓦とも呼ばれ、非常に耐久性の良い屋根材です。
粘土を乾燥させ、高温で焼いて製造しており、表面は陶器のような質感をしています。
寿命は50〜100年ほどとされており、塗装によるメンテナンスが不要なのが魅力です。
ただ、陶器瓦自体の耐用年数は長いのですが、瓦屋根に使用される漆喰や防水紙の寿命は15〜20年前後となっています。
漆喰や防水紙が傷むと雨水が侵入しやすくなるため、定期的なメンテナンスが必要です。
また、瓦屋根は地震の揺れや台風発生時の強風で、ズレたり落下したりすることがあります。
災害後に被害が発生した場合は、早急に修理を依頼してください。
スレート瓦
セメントを主成分とする「スレート瓦」は、コロニアルやカラーベストという名前でも呼ばれています。
厚さは5mmほどと薄い形状をしているのが特徴です。
陶器瓦に比べて非常に軽量なので耐震性の向上が期待できるうえ、デザインも豊富なことから、最近では多くの新築家屋に使用されています。
スレート瓦自体の寿命は30年前後です。
しかし、スレート瓦の表面には塗装が施されているため、定期的に塗装メンテナンスを施す必要があります。
塗膜が剥がれてしまうと、屋根の防水性が弱くなってしまうので注意してください。
10年前後を目安に、プロによる点検を受けるようにしましょう。
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セメント瓦
「セメント瓦」は、砂とセメントを混ぜて作られている屋根材です。
建設ラッシュだった昭和の終わり頃に、陶器瓦に代わる屋根材として広く普及しました。
セメント瓦の寿命は30年前後と長めではありますが、こちらも塗装が施されているため、10〜15年を目安に塗り直しが必要です。
塗装が剥がれてしまうと、瓦が雨水を吸収しやすくなり、セメント瓦に含まれるカルシウム成分が流れ出してしまいます。
本来の耐久性が失われて少しの衝撃でも割れやすくなってしまうため、劣化を放置するのは厳禁です。
モニエル瓦
「モニエル瓦」は、セメント瓦の1つで、ヨーロッパで誕生しました。
セメント瓦と同様、耐用年数は30年前後とされていますが、10〜15年おきに塗装によるメンテナンスが必要です。
モニエル瓦のメンテナンスの工程は、セメント瓦やスレート瓦とは少し異なります。
モニエル瓦には、表面に「スラリー層」という着色層があり、まずはこれを高圧洗浄で綺麗に落とし切らなければいけません。
適切な手順を踏まずに塗装を施すとすぐに塗膜が剥がれてしまうため注意が必要です。
また、モニエル瓦は現在生産が終了しており、一部だけ瓦を差し替える部分修理が難しい場合があります。
部分修理で対応できない時は、葺き替えによる屋根全体のリフォームを行います。
瓦屋根にメンテナンスが必要な5つのサイン
ここでは、メンテナンスが必要な瓦屋根の劣化症状を5つご紹介します。
ご自宅の屋根に当てはまるものはないか、ぜひチェックしてください。
①瓦のズレ
屋根の瓦の一部がズレている時は、修理補修が必要です。
瓦がズレて隙間が生じると、雨水が入り込みやすくなり、下に敷いてある防水紙が劣化しやすくなってしまいます。
防水紙が完全に傷むと、野地板の腐食に繋がり、雨漏りが発生しやすくなるため注意しましょう。
地震による衝撃や台風発生時の強風で瓦がズレることがあるため、地震・台風があった後は、屋根の瓦がズレていないか確認することをおすすめします。
②瓦の割れ
瓦が割れる要因には、地震による大きな揺れや、飛来物がぶつかった衝撃、経年劣化などさまざまあります。
瓦が割れていたり、ヒビが入ったりしていると、雨水を下に通しやすくなってしまうため、早急なメンテナンスが必要です。
③漆喰の剥がれ
瓦屋根の頂上部分には「棟」と呼ばれる箇所があり、この棟の瓦を固定している「漆喰」が経年劣化すると、剥がれが生じやすくなります。
漆喰が剥がれていると、そこから雨水が侵入し、屋根全体の劣化につながるため注意が必要です。
長期間放置すると、棟が崩れたり瓦がズレてしまったりと、修理が大掛かりなものになってしまいます。
漆喰が剥がれているのを発見したら、速やかに業者に修理を依頼しましょう。
④棟の歪み・崩れ
棟の歪みや崩れは、漆喰の剥がれだけでなく、地震や台風による衝撃でも生じます。
棟の歪みや崩れは、漆喰の塗り直しではまかなうことができないため、一度棟を取り払って積み直す作業が必要です。
⑤水切り板金のサビ・穴開き
屋根と屋根の面がぶつかるV字状の箇所や、屋根と外壁が面する箇所には、「水切り板金」と呼ばれる雨水を排水するための板が取り付けられてます。
この水切り板金がサビていたら、メンテナンスが必要な合図。
サビが進行して穴が開くと、そこから雨水が入り込んで屋根の劣化に繋がってしまいます。
水切り板金は普段目に入りにくい場所ではありますが、雨水が集中する箇所なので、忘れずに定期的なメンテナンスを受けるようにしてください。
瓦屋根のメンテナンス方法
瓦屋根の主なメンテナンス方法には、以下の3つがあります。
- 部分修理
- 屋根の葺き直し
- 屋根の葺き替え
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
①部分修理
瓦屋根のトラブルの発生箇所が限定的な場合は、瓦の差し替えや漆喰の詰め直しなど、「部分修理」を施します。
屋根全体を修理するより費用が安く抑えられるので、トラブルを発見したら、ダメージが広がる前に早めに修理を依頼することが大切です。
瓦の差し替え
屋根の一部分だけ、瓦にヒビが入ったり割れたりしていた場合、該当箇所の瓦を新しいものに差し替えます。
雨漏りが発生していたり、下地材が腐食したりしている場合は、下地材の補修も同時に行います。
漆喰の詰め直し
棟瓦の漆喰の劣化は、該当箇所のみ漆喰を詰め直して対応します。
漆喰がひび割れているだけなら症状は軽度ですが、剥離が起こっている場合は、劣化が進行しているサインです。
棟の取り直し
棟瓦が歪んだり崩れていたりする場合は、棟を解体して漆喰と土を全て撤去し、新しい棟瓦を設置し直します。
棟の取り直しは、20年前後を目安に行うと安心です。
②屋根の葺き直し
瓦自体に問題がなく、屋根の下地だけが傷んでいる場合は、「屋根の葺き直し」で対応します。
瓦屋根を一旦全て取り外し、防水紙や野地板を全て補修してから、再度既存の瓦屋根を設置する方法です。
新しい瓦を用意する必要がなく、瓦の処分費用もかからないため、葺き替えに比べて安価に施工できるのがメリット。
ただ、瓦自体の寿命が過ぎていたり、瓦が全体的に破損したりしている場合は、葺き直しによる修理はできません。
まずは、修理業者のお見積もりサービスを利用して、屋根の状態をよくチェックしてもらいましょう。
③屋根の葺き替え
瓦屋根と屋根の下地の両方が傷んでいる場合は、「屋根の葺き替え」を行います。
葺き直しと違って瓦を全て一新するため、工事は大掛かり。
部分修理や葺き直しよりも、施工価格は高めに設定されています。
新たに使用する瓦のデザインを、既存の屋根と大幅に変えることで、家屋の印象をガラッと変えることが可能です。
耐震性をアップさせるために、重たい陶器瓦から軽量な金属瓦に交換する方も多く見受けられます。
瓦屋根メンテナンスの価格相場
瓦屋根のメンテナンスにかかる費用相場を、以下にまとめました。
施工価格は業者や地域によって異なりますが、費用感を掴むためにぜひ参考にしてください。
メンテナンス内容 | 価格相場 |
瓦の差し替え | 10,000〜50,000円/枚 |
漆喰補修 | 3,000〜7000/m |
棟の取り直し | 10,000〜15,000円/m |
水切り板金の補修 | 10,000円/m |
葺き直し | 5,000〜8,000円/m2 |
葺き替え | 8,000〜18,000/m2 |
これらに、15〜20万円前後の足場代がプラスされます。
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瓦屋根の修理に火災保険は適用される?
瓦屋根の修理は、破損の原因が自然災害によるものであれば、火災保険の対象です。
屋根修理と関連の深い災害には、以下のようなものがあります。
- 風災:瓦が強風で飛ばされる・飛来物で破損する
- 雪災:積雪の重みで瓦が割れる・瓦がずれる
- 雹災:雹(ひょう)が降った衝撃で瓦が割れる
なお、申請の際は、被害状況を撮影した写真の提出が必要です。
業者に見積もりを依頼する時に「火災保険の利用を考えている」ということを業者に伝えると、屋根の調査時に写真を用意してもらえます。
なお、地震の揺れが原因で発生した被害は、火災保険ではなく「地震保険」の対象となるため注意してください。
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まとめ
今回は、「瓦屋根のメンテナンス」について詳しくお伝えしました。
瓦の中でも特に耐用年数の長い陶器瓦は、再塗装が不要なことからメンテナンスフリーであるともいわれています。
しかし、瓦の下に敷いてある防水紙や屋根の下地は、瓦の耐用年数よりも早く劣化が生じるため、定期的なメンテナンスが必要不可欠です。
下地の傷みを放置すると雨漏りが発生しやすくなり、家屋にも負担がかかりやすくなります。
15〜20年を目安に、修理業者による点検を受けるようにしてください。
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