屋根塗装について
【スレート瓦】屋根塗装の縁切りとは?しないとどうなる?
カラーベストやコロニアルといったスレート瓦には、塗装メンテナンスの際に「縁切り」をしなければいけません。
縁切りとは、スレート瓦の重なり部分に溜まった塗装を切り、隙間を設けるための作業を指します。
縁切りを怠ると屋根材の中に雨水が溜まり、雨漏りなどの不具合が生じやすくなるため、大変重要な工程です。
しかし、縁切りは一般の方にはなかなか耳慣れない専門用語なので、「見積書に記載されていても何のことか分からない…」という方も多いことと思います。
そこで今回は、神奈川県横浜市・川崎市で外壁屋根塗装を手がける「浜翔ペイント」が、「屋根塗装の縁切り」について詳しく解説しました。
・縁切りの基礎知識
・縁切りの必要性
・縁切りとタスペーサー:2つの工法
などをご紹介しています。
「タスペーサー」についてもご案内しているので、本記事を読めば縁切りとタスペーサーの違いもお分かりいただけますよ。
ご自宅にスレート屋根を使用している方は、ぜひ読んでみてください!
屋根塗装の「縁切り」とは?
はじめに、縁切りの基礎知識をご紹介していきます。
「縁切り」の基礎知識
屋根塗装の際に行う「縁切り」は、屋根材同士が重なる部分に溜まった塗料をカッターなどを用いて切り、あえて隙間を作る作業です。
主に、スレート瓦の塗装時に行います。
通常、屋根材が重なる部分には少しの隙間が設けられており、屋根材の中に入り込んだ雨水が外に流れ出るように造られています。
しかし、スレート瓦は厚みがないため、普通に塗装をすると、塗料が溜まって隙間が塞がってしまうのです。
もしも縁切りがなされていないと、雨水は外に流れていかず、屋根材の下地である防水紙や野地板を傷めかねません。
スレート屋根を使用している家屋にお住まいで、屋根塗装後に屋内の湿気が気になるようになったという場合は、縁切りが行われていない可能性があるため確認が必要です。
「タスペーサー」とは?
縁切りについて調べていると、「タスペーサー」という文字が目に飛び込んでくることと思います。
タスペーサーは、株式会社セイムが製造販売している縁切りのための専用部材のことで、スレート瓦が重なる箇所に差し込んで使用します。
瓦に差し込むだけで簡単に隙間が確保できるため、手作業による縁切りよりも手間を削減することが可能です。
頑丈なポリカーボネイト製で、色は黒と茶色が販売されています。
なお、タスペーサーは上塗り塗料で塗装するものです。
タスペーサーの色が屋根の上で目立ってしまうということはないので安心してください。
屋根塗装で縁切りを行うタイミング
縁切りは、上塗り材を塗って、塗料を乾燥させた後に行います。
塗料は「下塗り→中塗り→上塗り」の3工程に分けて塗装するため、施工の一番最後に行うものと考えてください。
塗装後の屋根の上を歩いて縁切りの作業をするため、塗料をしっかりと乾燥させる必要があります。
そのため、梅雨時期や冬場など、塗料が乾きづらい季節は注意が必要です。
なお、タスペーサー工法の場合は、下塗りの後にタスペーサーを挿入します。
屋根塗装における縁切りの必要性
もしも屋根塗装で縁切りを怠ると、以下のような症状が生じやすくなります。
- 雨漏り
- 苔・カビの発生
- 内部結露が溜まる
ここでは、縁切りの必要性を理解していただくために、起こりうる不具合を詳しくご紹介します。
①雨漏り
屋根塗装の縁切りを行わないと、雨漏りの発生リスクが高くなります。
台風や強風発生時に横殴りの雨が長時間続くと、雨が屋根材の中にも入り込みます。
縁切りがなされず、隙間が設けられていないと、入り込んだ雨水が屋根材を留めている釘をつたって、屋根内部にまで到達してしまうのです。
屋根内部に雨水が溜まって下地が腐食すると、以下のような雨漏りの症状が発生します。
- 天井に雨染みができる
- 水滴が落ちてくる
- 壁紙に雨染みができる
- 壁紙が浮いてくる など
雨漏りは、少しずつ時間をかけて屋根内部が劣化することにより生じるケースが多いものです。
雨漏りの症状が出た時には、すでに重度の不具合に発展している場合もあります。
屋根内部が傷むと、屋根の張り替えが必要になり、リフォーム費用は大掛かりになってしまいます。
屋根の健康を守るためにも、適切な縁切りの作業が必要です。
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②苔・カビの発生
縁切りをせず、雨水が内部に溜まりやすくなると、スレート瓦が湿気を含んで苔・カビが発生しやすくなります。
苔・カビが発生すると、雨水が流れる経路を防いでしまうため、より一層雨水が排出されにくくなります。
スレート瓦自体の傷みも進みやすくなり、ひび割れや欠けの原因に。
屋根材の寿命が縮むだけでなく、屋根の見栄えも悪くなるため、苔・カビの発生リスクを減らすためにも縁切りは大切な工程です。
③内部結露が溜まる
屋根に縁切りが施されていないと、屋根の内側で発生した結露の水分が逃げ場を失い、湿気やすくなります。
内部結露は、冬場に暖房を使用して屋内が温まり、外気温が冷たくなると生じる現象です。
内部結露で発生した水分を外に逃すことができないと、下地材の腐食につながる場合があります。
また、寒冷地では内部結露で溜まった水分が凍って、スレート瓦自体が傷むこともあるため注意が必要です。
縁切りの2つの工法
屋根塗装の縁切りには、主に以下の2つのやり方があります。
- 手作業による縁切り工法
- タスペーサー工法
縁切り工法 | タスペーサー工法 | |
やり方 | ・カッターなどを用いて手作業で隙間を作る ・上塗り後に行う |
・スレート瓦の隙間に挿入する
・下塗り後に行う |
作業時間 | 8時間前後 | 2〜3時間 |
費用相場 | 5〜6万円 | 3〜5万円 |
メリット | ・タスペーサーを踏んでスレートが割れる心配がない | ・屋根材を傷つけるリスクがない
・施工が楽 |
デメリット | ・縁切り箇所以外を傷つける可能性
・塗装後の屋根が汚れるリスク ・手間と時間がかかる |
・タスペーサーの商品代が必要
・タスペーサーを踏むとその下のスレート瓦が割れるリスク |
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
手作業による縁切り工法
「手作業による縁切り工法」は、金属ヘラやカッターなどの道具を使用し、スレート瓦の重なり部分の塗装を切って隙間を作るやり方です。
上塗り塗料を塗布し終えて、塗料を乾かしてから作業を行います。
手作業で行うため手間と時間がかかり、その分施工費用が高めになります。
また、屋根全体を塗装してから、屋根の上を歩いて作業をすることから、傷や汚れがつくリスクがあるとして、最近ではタスペーサー工法を取り入れる業者が増えてきました。
タスペーサー工法
「タスペーサー工法」は、スレート瓦同士が重なる部分に「タスペーサー」を挿入し、あらかじめ隙間を作る方法です。
15cmほど間隔をとって満遍なくタスペーサーを挿入するため、1枚のスレート瓦で2つのタスペーサーを使用する計算です。
一般的な住宅では、800個前後使用します。
一つ一つ手作業で縁切りする場合に比べて格段に作業時間が短くなるため、その分コストがかからないことがメリットです。
また、上塗り材を塗る前にタスペーサーを入れるので、塗装後に屋根が汚れる心配がないのも人気の理由となっています。
縁切りが不要なケース
スレート瓦であっても、以下のようなケースでは縁切りをする必要はありません。
- 反りが起きていて4mm以上の隙間がある場合
- 前回の塗り替え塗装時の厚みが薄く、次の塗装時に隙間が埋まる恐れがない場合
- 吹き付け塗装の場合
紫外線などの影響でスレート瓦に反りが生じ、十分に隙間ができている場合、縁切りは不要です。
また、一般的なローラー塗装と違って吹き付け塗装の場合は、隙間まで塗料の飛散がおよばないので、あえて隙間を設ける必要がありません。
このように縁切りが不要なケースもあることから、業者が提示した見積書の内容に縁切りやタスペーサーの記述がないからといって、悪徳業者であるとは言い切れません。
もしも気になるようであれば、自宅の屋根に縁切りが必要かどうか業者に直接尋ねてみるのもアリでしょう。
縁切りの費用相場
縁切りの費用相場は、5〜6万円ほどとなっています。
なお、タスペーサー工法の場合、3〜5万円が相場です。
5万円近い出費はなかなか大きいと思われるかもしれませんが、縁切りをせずに雨漏りなどの不具合が起これば、葺き替え工事が必要になり100万円以上のリフォーム費用がかかる恐れもあります。
安心して長く屋根材を使用し続けるためにも、縁切りやタスペーサー工法は必要に応じて行うようにしてください。
スレート瓦の屋根塗装は見積書の内容を要確認
スレート瓦を塗り替え塗装する際は、見積書に縁切りorタスペーサーの記載があるかどうかぜひチェックしてみてください。
見積書に記載がないからと言って、口約束で縁切りをしてもらうのはNGです。
口約束で施行をお願いしてしまうと、万が一約束通りの内容の施行をしてもらえなかった場合、証明できるものが無くなってしまいます。
施行後は、縁切り箇所やタスペーサー挿入箇所の写真を見せてもらうと、より安心です。
縁切りされているか不安になったら?
屋根塗装後に屋内の湿気がこもるようになったり、カビ臭さを感じたりするようであれば、屋根の状態を業者に確認してもらうことをおすすめします。
縁切りをしたかどうかを一般の方が確認するのは難しく、一部、縁切りをしない手抜き業者も存在するためです。
屋根の状態に不安を覚えたら、屋根の現場調査をしてもらうようにしてください。
依頼元の業者が信用できない時は、他の業者に診断してもらうのも1つの手です。
まとめ
今回は、「屋根塗装の縁切り」について詳しく解説しました。
スレート瓦を塗装する際は、屋根材同士が重なり合う部分に縁切りで隙間を作ることが重要でした。
縁切りをせず屋根材同士の隙間が塗料で塞がると、入り込んだ雨水が逃げ道を失い、屋根全体を傷めてしまいかねません。
なかには縁切りが不要なケースもありますが、必要に応じて必ず縁切りかタスペーサーの挿入を施すようにしてください。
神奈川県横浜市・川崎市で屋根塗装でお悩みのある方は、ぜひ屋根・外壁塗装専門店「浜翔ペイント」にご連絡ください!
当社には一級塗装技能士資格を保有する自社スタッフも在籍。
どんな些細な疑問やお悩みにも丁寧にお答えいたします。
屋根塗装のお見積もりは無料でお受けしておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。